サウゲイロ 2018年
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版
"世界の子宮たる女性たち"
“私は第一の子宮、黒い大地、偉大なる宇宙の母、世界を産み育てる第一の存在、偉大なる赤きヤー、生命とエネルギーの源泉と超自然力を象徴する色。(…)豊饒に満ち、私は儀式を通じて白きもの、残り半分の瓢箪と結びつき、生命のつがいをなす。”
主旨
55
年前、赤と白のマントの下で、アカデミコス・ド・サウゲイロは歴史に埋もれたひとりの黒人女性(シカ・ダ・シウヴァ)を称えました。「奴隷から女主人に」
成り上がった女性を取り上げたパレードは、サウゲイロにとってもブラジルのカーニバルにとっても、ずっと語り継がれるべきものとなりました。今回、その他
のヒロインたちがサウゲイロに登場します。有名な者もあり、無名な者もあり。みな、それぞれの分野で、色で、成功をおさめた人たちです。人類史のあけぼの
から現代にいたるまでの長い時間を通して、そうした彼女たちの話をお伝えしていきます。
シノプス
そ
の女は、、、アフリカの黒き子宮から現れた。人々は彼女をディンキネシュ(エチオピアで用いられるアフロ・アジア語族セム語派のアムハラ語で「貴女は驚異
的だ」の意。この考古学的発見は、ヨーロッパの研究者たちが無作為に選んだ「化石のルーシー」として世界に知られた)と名づけた。何百年もの時を経た彼女
の化石が、科学の目を通じて捉えられた姿は、人類の母たるアフリカのエバだった。そこから歴史が歩みを始めたのだ...
その女は、、、聖書に記されたシバの女王。ソロモン王の心を捕らえた者。黒き王女。エチオピアの摂政。宮殿を築き、文化と芸術を振興した。侵略者を撃退した、強力な軍隊を指揮したヌビアの将軍であった。
その女は、、、ナイルの谷にありし、神聖なる権威の具現、力の源泉。王家の系譜を守護する者。ホルスのごとく、敵に火を放つ。
そ
の女は、、、エジプトの妻であり母である――女神イシス――聖なる子、ホルスを育み、初期のキリスト教における聖母像の雛形となった。ネイトでもある。最
も古き女神。轟く声で「われこそは、昔いまし、今いまし、やがてきたるべき者すべて」と語った者。そしてハトホルでもある。自己再生し、生命を与え、死者
を護る、感覚を司る女神。
その女は、、、アレクサンドリアの学者ヒュパティア、「古代世界唯一無二の女性大科学者」。
その女は、、、メリト・プタハ。医学の始祖。人類史上初の産院を提唱した者。
その女は、、、戦士。アンゴラのンジンガ。ポルトガルの帝国主義と戦い、男装で戦場に現れ、王と呼ぶことを要求した。
その女は、、、アシャンティのヤァ・アサンテワァ。ガーナのエジス王の母たる女王。イギリス人と戦い、国民に向かって、こう言い放った、「アシャンティの男たちが前に進まないというのならば、わたしたちみんなが行く、、、わたしたち、女たちが」。
私たちに近いところで言うならば、パウマーレスの世話役。ガンガ・ズンバを見出した聖女、アコチレーニ。あるいは、テレーザ・ド・クワリテレレ。はたまた、マリア・フェリッパ、ルイーザ・マイーン、他にもたくさん。
そ
の女は、、、植民地・帝国時代の隠れ里カフンドーの母。大西洋のこちら側で、新しい家族の絆、黒人の互助体制、秘密の組織を作り出し、アフリカ起源の様々
な宗教の端緒を開いた。その女は、黒き母。主人の子供を育てた「乳母」。愛する男と仲むつまじく暮らすことだけを望んだ。髪を編み、頭を撫で、子守歌をう
たい、おとぎ話を語ってきかせた。アフリカの文物をとりあげ、アフリカの言葉で歌われた頌歌が、私たちの心に刻まれた。
広場や道角に市を開いた。
果物や野菜を売る女たち。台やかごを頭の上にのせて。ブラジルにおける女性実業家のはしりである。女神オヤの娘として、「さあ、アバラよ!」と呼びかける
女たち。愛嬌をふりまき、スカートの裾をひるがえし、刺繍の入ったサンダルを見せ、幾重にも巻いた首飾りをならし、つま先立ちで都市の雑踏を抜けていく、
自分の魅力を知る女。妹の解放権を買い取るために数千レイスをも稼ぎ出した「解放奴隷」の女。甘味屋、軽食屋、八百屋を営む女たち。
その女
は、、、食べ物をもたらす。屋台に並ぶのは、、、ヴァタパ、カルル、ムングンザ。ボウルに調味料を入れ、ギニアショウガをつぶし、塩を少々、デンデヤシの
粉を加え、さあ仕上げをごろうじろ。アングーとアルワーの出来上がり。加えて、ボボー、アカラジェ、エフォー。最後に、キンヂン、そしてピーナッツ入りの
ドーセ・ヂ・レイチ。
葉についての知識を信じる女は、、、ウィッチ・ドクターあるいはヒーラー。癒しのハーブ、祝福のハーブ。カンジェレーの集会
では、呪いを切り落とし、守護となる聖人を召喚する。アシェの世界においては、ヤミンであり、プレッタ・ヴェーリャであり、アギバーであり、マメトゥであ
り、ノシェーである。男神、女神それぞれに捧げるエボーの用意をする母。原始の母、「夜の鳥の女性たち」、生命を生み出すエネルギー、死を司る力を称え慰
めるジェレレの儀式を行う女。アフリカの人々にとっては、「男が地上で成し遂げるものは、ことごとく女の手を通じてなされる」ということを、知っておいて
ほしい。
その女は、、、教師や長老に従って、アフリカの口頭伝承を受け継ぎ、自由を獲得する戦いを支えた。後に、文書化によって、その歴史を記録した。
そ
の女は、、、黒人女性作家。先祖伝来の価値の護り手。ブラジル初の長編小説家であるマリア・フィルミーナ・ドス・ヘイスから、ファベーラやそこに存在する
家々を都市からの隔離施設にたとえながらコミュニティの日常を描き出したカロリーナ・マリア・ヂ・ジェズースまで。彼女たち、その他大勢の女流作家たち
が、社会的圧力を乗り越え、わが国の名作文字媒体のあり様を作り上げてきた。
その女は、、、世界記憶遺産。女神、女王、戦死、聖職者、魔女、族長、、、女手一つで働いてみんなを支えた。その名はレジリエンス(回復力)。母であり、姉であり、恋人であり、伴侶。ヴェーリャ・グワルダ、バイアーナ、パシスタ、ポルタ・バンデイラ。
その女は、、、優雅さにあふれる。女性とその子宮に祝福を。美しい鳥たちをともない、空の高みより、我らを見守り給わんことを!
アレックス・ヂ・ソウザ(カルナバレスコ)
調査監修: Dr. ジュリオ・タヴァーレス
調査: カカー・ポルチーリョ、マリーナ・ミランダ、インスチトゥートHojuアフリカ史概論受講者のみなさん
構成(作曲者用の参考として)
オープニング
黒き大地。大いなる「宇宙の母」。先祖由来の力が世界を生みだし、育む。アフリカという子宮が、人類を産む。
第1部
文化芸術を振興し、軍隊を率いた、黒き女王の系譜。
第2部
現人神の姿。ナイルの谷の権力の源泉。ケメト(エジプト)の母たる、王妃、女王、女神たち。
第3部
アフリカの戦場でヨーロッパ帝国主義との戦いに望む女戦士たち。逃亡奴隷集落のヒロイン、歴史的反乱運動のリーダーたち。
第4部
新たな家族の絆を作り上げた女系家長たち。黒人互助組織。主家の子供を育てる「黒人の乳母」。ブラジルにおける初期の女性実業家:甘味家、軽食家、八百屋。
第5部
アフリカ起源の様々な宗教の創始者たち。ハーブの知識を伝える女。ウィッチ・ドクター、ヒーラー。アシェを崇拝し、畏敬し、癒す、「原始の母」、「夜の鳥の女性」。
第6部
女性作家たち。女性たちの戦いや過酷な現実を書籍に記録し、文化的価値を記録した。
サンバ・エンヘード
作: シャンヂ・ヂ・ピラーレス、デマ・シャガス、ドゥドゥ・ボテーリョ、ヘナート・ガランチ、ジャッサ、レオナルド・ガーロ、ベチーニョ・ヂ・ピラーレス、ヴァンデルレイ・セナ、ハウフィ・ヒベイロ、W.コヘーア
世界中の子宮たる女性たち
わがサウゲイロの行く道を照らす光
私を導く、赤きインスピレーション
この地で白と混ざり合わせる
その聖なる儀式の力で
先祖伝来の豊かな遺産
アフリカ由来の女神
彼女に祝福を、アシェに愛の歌を
信心篤い者に奇跡を
私を作り上げためぐり合わせの中で
母、女、護りの手
優しいぬくもり、破壊力
ナイルのほとり、朝の光
アンゴラの地における、ザンビの娘
侵略者に立ち向かう、戦士、呪術者、将軍
知識を司り、価値を示す
クワリテレに響く声
聖サルバドールに流れる血
ああ、隠れ里の家長
私の頭を撫でてくれた黒人女性
主家の乳母
私にデザートのスプーンでの食べ方を教えてくれたおばさん
恵みを、祈るバイーアの母
わが命に宿る、愛の遺産
自由は抵抗
良識の光
魂に色はない
太鼓の準備を、聖地の女王を迎えるために
黒人らしさだ、サウゲイロ
海を越えてきた遺産は
みんなをサンバにいざなうジンガの中に
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