G.R.E.S. アカデミコス・ド・グランヂ・ヒオ 2013


PDF 版

"私はリオを愛している。ゆえに戦う。譲れない黒い金。(リオに対する不公平な扱いに抗って)"

着想

[...] 地質学的に見れば、石油の歴史など浅いものです。ほんの1世紀にすぎません。実際1859年のドレーク大佐の油田発掘からはじまっただけのことです。石油 の登場時に、燃料の主力は石炭でした。また将来的に、石油が枯渇した場合、埋蔵量的に大きな余裕のある石炭に戻らざるを得ないでしょう。しかしながら、石 油が早期に枯渇してしまうことについて、その責任はアメリカ人にあります。あまりにも多くを採掘し、あまりにも多くを浪費したのですから。アメリカ人によ る1年間の採掘量に相当する100万バレルの石油を自然界が作り出すのに何百万年かかることでしょうか?想像すらつきません。石油は、石炭同様、太陽の子 供なのです。太陽は生命の源泉であり、それゆえに、石油のもととなる有機物の源泉でもあるのです。端的に言えば、石油すなわち太陽です。何百年も前に地表 に降り注いだ太陽光が地中に抱かれて育まれた結果ということです。そこに工夫好きの生物である人類が現れ、大地に穴を穿ち、液化太陽光(石油)を掘り起こ したのです。そしてそれを精製して、ガソリン、ケロシン、灯油、潤滑油、パラフィン、スーパーガス、その他300近い様々な石油製品に作り変えました。原 油から作られる香水まであります。こうした精製物を用いて、奇妙な仕掛けを動かすようになりました。特に、移動手段の分野で。

永続的に、 世界中で、何百万もの自動車と呼ばれる「金属製のゴキブリ」が、道と言う道をあらゆる方向に走り回っています。時とともに数を増して、飛行機と呼ばれる 「機械仕掛けの巨大な鳥」が空を埋め尽くすようになっています。海の中にも、石油を動力源とする潜水艦が行き交っています。どこを見ても、工場に次ぐ工場 が、石油燃料のおかげで、休みなく動いています。石油は世界の動力へと姿を変えたのです。

−それはなぜ?
−なぜならば、世界中ど こにでも容易に運べる液体燃料よりも、機械の動力源として適当なものが存在しないからです。1缶のガソリンがどれだけの意味を持つでしょうか?そこには何 百万カロリーものエネルギーが詰め込まれています。1リットルの石油を燃やすことで、1.2万カロリーの熱量が得られます。これは石炭、薪、その他いかな る燃料をも大きく上回る数値です。内燃機関に投入されることで、石油は機械動力に変換され、人間のありとあらゆる作業の役に立つようになります。自動車や 船舶や航空機を動かし、クレーンを通じて重いものを持ち上げ、工場の幾千もの機械を動かしています。すべて、燃焼、あるいは小さな爆発の力を利用して。 [...]

原典: モンテイロ・ロバート『子爵の井戸』 1965年 ブラジリエンセ

エンヘード要旨

G.R.E.S. アカデミコス・ド・グランヂ・ヒオは、ここに団結し、我らがリオデジャネイロ州の石油産出由来の権益に関する民衆の意見に沿って主張を行います。リオデ ジャネイロ州は我が国の石油の83%を産出しています。我々にはこの負担に見合った見返りがあってしかるべきです!

州内の多くの市は―― 我らが州都リオデジャネイロも含め――石油生産に関わる利益のおかげで、都市交通、治安維持、輸送、社会福祉その他さまざまな分野での利便整備が進むとい う恩恵に浴しています。パレードでは、こうした一連の事象を再現して、単に石油産出とその直接的な恩恵だけではなく、そこに傾注された高品質の建設・生産 技術の形成を表現します。

これらの利益分配を、各市の発展に振り向けることで、教育、健康、区画整理・拡大等の福祉分野の成長が見込まれます。また、各地域の独自発展に向けた新分野への配分も期待されます。

し かしながら、こうした福祉はどれも、市側に大きな財政負担を要求し、明らかに多くの場合、市の財政的運営コストについては「ロイヤリティ」が唯一の財源と なっています。ここに今回のスキャンダラスな政治問題の核心があります。ブラジリアでは、連邦内全市が受領している利益の分配取り分を制限する法案が審議 されているのです。

もしこれが実現すれば、現在受益側にある各市は手元に残る資金不足に耐えられず、都市機能の低下や行政機能・財政の破綻を招くことが明白です。その結果、地域住民にサービスが提供できず、修復できない損害が生じることでしょう。

そもそもこの法案は、油田開発地域毎に様々な制限を設け、様々な分野の専門家が協力して当該地域に発生し得る、また当該地域住民に影響をおよぼし得る、地位的な生物多様性への損害を最小限に食い止め、環境保護を図ることを趣意目的としたものでした。

現 在、カーニバルは世界最大かつ最も見ごたえのある大衆的祭事であり、そこで私たちは最大限の自由の下でサンバをし、遊び、楽しむことができます。さらに カーニバルでは、私たちを熱狂的に支持してくれる人々の心に訴えること、あるいは私たちが何者で、何を求め、何に相応しいのかを映すエンヘードを伝える様 々な手段を用いることができます。そこで私たちは迷わず、我らが愛するリオデジャネイロ州およびそこに暮らし、働く人々への尊敬を表明すべきこととなりま す。

私たちは共同体として、義務を自覚し、声を揃えて権利を主張し、旗を掲げます。「リオに対する不公正な扱いに抗って」。

ホベルト・サニエツキ(カルナバレスコ)

パート毎の構想(作曲者用)

導入

海面下7km、200km×800kmのエリアに存在するプレソルト(岩塩)層での原油発見により、ブラジルが世界有数の産油国となる可能性が生じました。

このプレソルト層の正確な原油埋蔵量、環境への影響、採掘に関する規制等、未だ確定していない点が多くある段階ながら、既存の油田に関するものに加えて支払われるべきロイヤリティの分配について議論が高まっています。

「ロ イヤリティ」という言い方は、15世紀にイギリスで用いられ始めました。当初、鉱山開発にともなって、王領である土地を利用するにあたり、王室に支払われ る代償の一種として創設されたものです。現在は、権利者に対する(当該権利の利用料の)支払いを規定するものとして用いられています。

ブラジルでは、石油に関するロイヤリティとして徴収された金額が、組合と、産出地または精製施設や付帯施設が設置されている州や市との間で分割されています。

私 たちは、パートの流れを通じて、石油生産に直接的に関与しているリオデジャネイロ州や州内の市に対して石油産業がもたらしている利益、および、この「ロイ ヤリティ」によって支えられている社会的、都市的、環境的発展に必要な資金が不足した場合の破滅的帰結について提示していきます。

オープニング: 海上石油リグ
知 識、勇気、力、そして決断。原油採掘リグは、あたかも完璧なモーター機構を構成する歯車の巨大な集合体のようなものです。この大きな建造物の中に、勇敢な 人々と素晴らしい機械が、あたかも魚の群れが散開するように、散り散りに配置され、力の限りを尽くして、青い海の底から黒い金、私たちのパレードの燃料と なる液体を掘り出そうとしています。

私たちはまず、石油の採掘、搬送、精製のために海上に熱意をもって建設され、運営され、ここに私たち が提示しようとする社会的および財政的配当の獲得に関する主動力となっている、リグからパレードを始めます。形式上、リグを、そこに出入りする運搬船、危 険を伴う労働、そして黒い金を商業製品に作り変える精製施設と合わせて、再現します。

第1部:石油製品

世 界はひとつの生き物のようなものです。それはまた大きな機械のようでもあり、正しく作動させるためには、常に潤滑を効かせておく必要があります。そしてこ の存在、全てが相互作用で結びついているこの「エコシステム」を動かしている血液が石油です。「液状の黒い金」の輸送から精製処理、そして、そこから生み 出される各種製品の流通・使用にいたるまで、各部位が全体のために作用しています。

第1部では、扇のように広がる、私たちの日常における 石油製品やその利用法の可能性を提示します。道路、鉄道、海上、河川上、航空の各所で我が国の経済の大部分を動かしている燃料。プラスチック製品や関連商 品、合成ゴム、その他化学物質やその応用製品の利用。全て、私たちが普段意識しないながらに日常的に存在するこれら石油製品の重要性に着目するものです。 即ち、これら石油製品の否定できない汎用性を提示するものです。

第2部:石油産業の技術発展


石 油は進歩を促し、成長と新技術開発を刺激します。それに伴い、職業人の熟練とチームづくりが必要となります。優れたものづくりのために知識の向上が求めら れる、「知識、応用、生産性、富」という大きなサイクルで動く動力のようなものです。石油産業の拡大および日に日に高まる石油製品の需要にともない、同分 野に直接・間接に関与する企業にとっても、自社の指数関数的成長に向けたギャップを埋めるべく、相応のスキルをもった職業人を集めることが重要事項となっ てきています。

石油リグ等のオフショア構造物関連産業では、冶金工、電気・電子技術者、水力分野の技術者、各種部材・製品に関する科学者や研究員をはじめとする、多くの人材が求められます。前述の通り、さまざまな作業員、技術者、研究員が、連携して生産全体を支えているのです。

こ こからより大きな利益の流れが生じます。つまり、企業がこうした人材集めに資金を投じるということから、常に求められる人材の能力開発に向けて、関連の知 識能力を教え、開発しようとする人々へと効果が波及するのです。直接・間接の能力をより現実に即して応用していくことで、当然、そうした専門家は、より高 い給与、よりよい暮らしで報われることになります。

周辺の市も、これら「求められる人材」を受け入れることで、人口増加に伴い、これら新住民が期待し、必要とする、これ以降に紹介する各種サービスの提供が必要となることから、その用意にいとまがありません。

第3部:教育、スポーツ、娯楽、社会参画


社会発展は、住民の権利拡大を促します。福利厚生、健全な身体に健全な精神が宿ります。市民を尊重し、市民に、芸術、文化、スポーツ、健康を知る機会、尊厳ある幸せな人生を送る機会を提供することが、各市に期待されます。

開発が進む公共区域における生活環境向上を継続するためにも、石油利権に伴う財源は社会福祉に向かうべきです。該当地域社会の雇用の動きからも、住環境の改善に向けた取り組みが求められています。

保 育園や教育機関(初等、中等、高等)の設置が優先課題となります。これに関連して、スポーツやレジャーが教育活動・個人活動の補完要素となります。ダン ス、演劇、工芸等々の芸術関連のプロジェクトによって、新たな才能が発掘開拓され、将来に向けたより明るい展望を見込むことができるようになります。もう ひとつ言及しておきたいのは、高齢者を対象とした活動です。読み書きの再教育、健康促進施策、そして、雇用助成策によって様々な経済主体の協同活動を生み 出し、正規の労働市場ではマッチしない人々にも就労機会を創出することができます。

第4部:都市インフラの整備と歴史遺産の保全


我 々のものを大事にすること、過去を保存することは、未来をよりよく作るためでもあります。夕暮れに漁を終えて戻ってくる小舟の詩的風景を失うわけにはいき ません。調子を合わせて漁網を引く姿、海岸沿いで獲れたての魚を買う姿。サンゴ礁でのダイビングの楽しみ。歴史のある広場の探訪や音楽堂前でのデート。小 さな教会の田舎っぽい鐘の音、あるいは、現代的な建物と完全に調和して存在するカザリオ(カセリオ)様式の家のバルコニーを眺めること。保全された過去、 保証された現在、有望な未来、これらは全て、外部からの観光を誘引し、各市の歴史を棄損することなく質の高い進歩を促進する、石油利権による財源が支える 投資によってもたらされるものです。

受益である市は、インフラ工事を通じて都市機能の改善を図ることができるようになります。上下水道、 電気、道路舗装、その他全ての近代化について、その実現のための財源が見つかるのです。その結果、都市環境が改善し、新規事業の機会も増大します。リオデ ジャネイロ州北部海岸地帯はブラジルの植民地時代の代表的な存在ですので、地域および歴史的建造物の保全活動によって、観光面での魅力を強く補強すること ができます。伝統的な生活様式にも大きな恩恵がもたらされます。例えば伝統的な漁業にしても、流通市場、屋根付きの販売所、舟の修繕ドック等々の整備に よって、漁獲物の流通条件が改善される上に、観光シーズンや連休には波静かな海岸や港を求めて多くの人々が訪れるようになることでしょう。

第5部:公益事業の機能


私 たちが求め望むのは、石油採掘に関するロイヤリティが引き続き地元市のインフラ整備に用いられることです。健康、安全、ごみ回収、都市環境の保全といった ことは、石油産出地域および石油産出に協力している地域である市への金銭的補償に支えられた財源によって賄われるべき様々なもののいくつかの例にすぎませ ん。

石油産出に連れて増大する人口にともなって、各市には市民への対応面で、より注意が求められるようになります。クリニック、病院、救 急治療施設(UPA)等の医療体制には、その質および多様性の向上が求められ、また、各市の独自の対応、特に現在のような州都リオデジャネイロへの依存を 脱却することが期待されています。

市警察や州警察が関わる公安分野も、既存設備の維持管理に加え、新規車両の導入や、一般市民や観光客に応対する拠点の整備等、施設整備への投資に支えられています。この分野に従事する人材の育成も忘れるわけにいきません。

市街地の公園整備の観点からは、より機動的なごみ回収や公園・庭園の保全を含む清掃事業の効率化の問題を避けて通るわけにはいきません。公園・庭園の保全は歴史的建造物の維持にも関連し、全市の行政が模索する総合的な枠組み作りが求められます。

第6部:環境に優しい生産、そして大混乱

成 長し、同時に保全するにはどうしたらいいのでしょうか?破壊せずに採掘するにはどうしたらいいのでしょうか?海と陸とを含む、この巨大かつ壊れやすいエコ システムのバランスを保つにはどうしたらいいのでしょうか?黒い金を育む海を汚さずに、海の底からそれを取り出すには?私たちに何もかもを与えてくれる豊 かな自然を尊重すること。それこそが一大焦点です。達成すべきゴールです。それが私たちの戦いです!

生産地域および補助活動地域の市への 権利譲渡に関する主要原則のひとつは、環境破壊事故の予防および発生時の被害拡大防止と直接的につながるものです。この分野への投資によって、該当地域の エコシステムの調査および徹底的な研究を行い、万一の際の影響を最小限にとどめることを保証する規制を制定します。生物学者、地質学者、海洋学者、その他 あらゆる分野の専門家の力を、この大地と海の壊れやすいバランスを保つことに集中させます。この命の泉に関わる調査を通じて、域内に棲息する生物を確認 し、データベース化し、遺伝子工学的な保存によって、将来、万一の際に直ちに再生できるよう備えることも考えられます。

結び

万一、石油生産に起因する「ロイヤリティ」財源が滞った場合、各市およびリオデジャネイロ州の潜在的資産価値および成長力が棄損されることになります。各市の開発は、既存プロジェクトの維持から生じる財源でやっと賄われている状態です。

つ まり、地域内の市の大半は、地域および地域住民に対する行政サービス提供義務を果たすために必要な財源を他に求めることもかなわず、財政破綻してしまうこ とになるのです。ある程度の財源を持つ大きな市にしても、既存設備の維持に必要な投資に事欠いて都市機能設備が劣化することはもちろん、公安や健康福祉分 野をはじめとして重大な危機に瀕することになります。最終的には、万一不測の事態に際して、前もって定められた被害拡大防止策を機動的効果的に実行する初 動すらとれずに、環境破壊が拡大してしまうことすらあり得ます。

これはリオデジャネイロ州および多くの市に関わる、ゆゆしき事態です。こ のように不安が私たち全員に重くのしかかっているときに、この不正義に抵抗する旗を私たちが掲げることは、賞賛以上の価値をもつことでしょう。我らが人民 はもう十分一生懸命、情熱をこめて働いて経済を成長させてきたのですから。私たちが日々の暮らしの先の地平線に描いてきた明るい未来への希望を、今、取り 上げようとする動きは、到底正当とは言えないでしょう。

アカデミコス・ド・グランヂ・ヒオは2013年に、ドゥッキ・ヂ・カシアスの地域コミュニティ全体とともに、石油生産地域の全市と連帯し、声を一つにして、私たちを犠牲にしようとするこの不公正に対して抗議します。

私たちはブラジル人であることに誇りを持ち、リオを愛し、それゆえに戦いに臨みます!

ホベルト・サニエツキ(カルナバレスコ)


(サンバ・エンヘード)
作: ミンガウ、ジュニオール・フラッガ、デレ、ミンガウジーニョ、アルリンド・ネト

こっちへ来て、オレと歌おう
今オレは海の底へと潜る
海の底には
世界の需要を満たす「金」がある
経済を成長させ、知識を増やす
倍増させる
自然のままでとても美しい
我がリオが豊富な富を生み出す
平等に、そうさ
君にもよし、オレにもよし

狂わんがばかりの永遠の情熱
我がエスコーラは我が愛しの君
上機嫌の中にある幸せ
我らがカーニバルは「黒い金」

オレは網を投げ入れ、そして引く
こっちへ来てキスしてくれよ、君
広場で鳴る鐘を聞く
保全することは価値をつくり出すこと
オレは生きる場所が欲しい
それと、安全と健康も
売るほどいっぱい
こうして祝いながらオレは、
命が再生するのを見る
そこにメッセージがある
開発と破壊は違う
欠ければ大混乱
オレは放っておけない
リオのためにオレは戦う

オレは愛のグランヂヒオ
こっち来い、オレによこせ、オレのものはオレのものだ

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