ウニードス・ダ・チジューカ 2011
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「今宵、魂を頂戴」
毎晩のように、あなたたちは戻ってくる。競うようにやってきて、料金を支払い、中に入るや否や、外に出してくれと祈る。しかし、途中で
引き返す術はない。一旦乗り込んだからには終点に到達するまで立ち上がることすらできない。これら全てのことがどう決着するのか知りたがる。さもなくば二
度と落ち着きを取り戻すことができない。ひとりではいられず、ひとつひとつの物音に怯え、感覚は麻痺し、恐怖の一夜をさまようのだ。さあ、来るがいい。
魂を差し出すがいい。己の弱さを知るがいい。終末に至るがいい。皆が同じ表情をしている。乾いてひび割れた唇。泳ぐ視線。冷えきった手。先に進むのが怖
い。席についたまま姿勢を整えようとは思うが、その場を去ることはできず、次々と変わる場面に向かう。暗闇と静寂を求める。身じろぎもできず、ただ驚き、
無防備である。泣き声、嘆き声、叫び声、呻き声、爆発、騒音、破壊的な機械に、恐怖感がともなう。何が起きても怖くなる。たまには救いがもたらされるが、
大半は皆を打ちのめしにやってくる者たちだ。
そして、何世紀にも亘って、征服欲が闘争と苦痛を拡散する。やがて世界は二分される。戦争
人間と平和人間とに。加害者と被害者とに。領主と奴隷とに。どこであるかは問題ではない。砂漠や都市に人体を叩き付ける戦いが、村でも、原野でも、それも
地球上でも他の惑星でも繰り返される。あらゆる場所からそれはやってくる。それでもあなたたちは動けない。全てを目撃しながら、一つ一つの情景を見るにつ
け、感情が高ぶってくる。手に剣をとり、傷の痛み、喪失の悲しみ、そして次の攻撃への恐怖を感じる。そこにどこからともなくやってくる、不可思議な戦力。
幻想的な一団が宇宙を通り過ぎていく。惑星を飲み込みながら。その圧倒的な力には誰も抗うことができない。
あなたたちは、暗闇から現れ
る強烈な一撃を目にする。人類の哀れな姿に悲しみを覚える。怒れる精神を恐れる。不確実なものに対する悲しみと、偽りの痛みと、偏見からくる苦しみを身に
受ける。不正に立ち向かい、羊を獅子に変え、妖怪を狩り、劇的な脱出プランを考え出す、あるいは少なくとも、基本的人権を主張し、限界を超え、敷居を取り
払うだけの能力を備えた者の到来を待ち望む。どこでも、自らの欲望のためには対価を惜しまないようになる。まさしくそれ自体が、さらなる犠牲者から貪りつ
くそうとする妄想に変わってしまう。それに出会う恐れの前では、貪欲な執行者も臆病者に変わってしまう。命の恩人も、臆病者の貪欲さの犠牲になってしま
う。怖くない?なるほど、ただ、いつまでもつか。
たとえば、原野や田舎町で静かな生活を送っていれば大丈夫、、、だろうか?各自が自給
自足をして。それも終わりの始まりにすぎないかもしれない。隠れても無駄だ。やつはあなたを見つけ出す。むしろ、まったく予期していないようなところに現
れる。子供の悪ふざけに、気さくな笑顔に応じて防御を緩めたときに。暴いてはいけない秘密を詮索してしまったときに。注意せよ。そこに恐怖が潜んでいる。
逃れる手立ては?
憎むべきものは、火炙りにしなければならないという人もいる。あるいは、悲しみや死や痛みを起こすあれこれに立ち向か
い、悪を罰しなければならないという人もいる。全て無駄だ。異教徒にせよ、魔法使いにせよ、悪魔崇拝者にせよ、聖人にせよ、答えを見つけた者自身が、今度
は世界への脅威として目をつけられてしまうのだ。
あなたたちは恐れている。ひとたび乗り込んだからには、これ以上何もできないというの
に何を震える必要があるのだろうか。同じような経験がある?その通り、やつらはここにも存在する。ならば進むがいい。目の前の戦いに勝利して、魑魅魍魎を
退散させればいい。ただし忘れてもらっては困る。やつらは戻ってくる。何度でも戻ってくる。逃れようともがくほど、仕返しの度合いを強め、決してあきらめ
ようとしない。憎むべきものには完勝することができない。とどめを刺すことができない。その存在が忘れられたころに復活するのだ。隠れて祈ることはできる
が、逃れることはできない。排除作業が終わり次第、再興が始まる。先史時代の、暴力的、凶悪な存在。あなたたちは恐れる。これが最後のダイブとなるかもし
れないから。おそらく、それでもやつらは生き続ける。死や想像をはるかに超えたレベルで、悠久の果てまで至るような冒険があるだろう。それを生き延びるの
だ、その能力があるのなら。ないのなら、助けを呼ぶことだ。
私は常に隣で覗いている。これは信じてくれていい。私は待っている。あなたたちが疲れ果てて諦めるのを。力なく、戦うこともなく、降参するのを。
暖
かい風とおいしそうなフルーツの香りを感じられない?ただ息苦しく暑いだけ?長い旅を終わりにして、休みたい?それでは苦しんでもらうしかない。戻ること
はできないのだから。この旅に後戻りはあり得ない。この後すぐに、あなたたちは感じるだろう。足枷の重みを。鞭打たれる痛みを。逃亡者の悲しみを。自由へ
の渇望を。
さて、ここではいったい何が起きているのだろう?私に従わないのか?誰一人立ち上がって勇敢さをしめそうとする者がいないと
いうのに、何を逆らい続けようというのか?皆が私とともに行き、消滅するのだ。まだ冷酷、無関心、愚かさといった嵐が続々とやってくる。この支配を受け入
れないのか?決して諦めないのか?圧政に抵抗して、家に帰りたいか?何百万人もが足並みをそろえて、どこへ行こうというのか?無駄だというのがわからない
のか?誰ひとり戻ったものはいないのだ。これは信じてほしい。何もできずに見ているだけの、この力は何だ?どうやって皆を悪夢へと引き戻しているのだろ
う?嵐のほんの小さな兆候の前でさえ、あなたたちが脆そうに見えた、まさにそのとき、皆が生まれ変わる!結局のところ、何に怯えていたのだろう?怖くて死
にそうで、身動きもできずにいたのに、今は、、、いったいどうして?だまされていたのか?からかわれていたのか?どこへ行こうとしていたのだっけ?もう戻
ることはできない、というのも、到着したからだ。我々はここにいる。皆が私たちを待っていたのだ。
ということで、皆さんは、私と一緒の
時間を楽しんでいたのでは?ということは、私をだましたのか?私に内緒で話を変えた?やっとわかった。皆さんが私を動かして、私自身では結末を決めること
ができない映画の登場人物に仕立て上げていたのだ。映画でも実生活でも、出たとこ勝負の技術が主流だ。もう一度やり直すことにしよう。恐れのない過去とい
う大胆さを未来へ託すことにしよう。そして毎年、新しい登場人物が現れる。新しい戦いと栄光の歴史が生まれる。単純に、強く。次の限界に突き当たっている
と自覚することが、命を永遠につなぐ動機となるのだから。自己改革を続けるという驚くべき力を持った、勇気ある人々の話。
終わり?
パウロ・バホス
イザベウ・アゼヴェード
アナ・パウラ・トリンダーヂ
シモーネ・マルチンス
(サンバ・エンヘード)ジュリオ・アウヴェス、トトーニョ
何を恐れている?
映画は、もう始まる
あなたは招待された
カローンの舟*1に帰りを求めても無駄
明かりを消せ、戦争が始まった
フードの中で、監督が熱狂する
冗談だらけの映画がロードショウにかかり
恐怖が私をつつむ、そんな馬鹿な
空中を行く得体のしれない力
私の怖れは誰にも伝わらない
ドカーン、って見えなかった?家が倒壊した
爆弾を手にした悪人の仕業だ
脱出作戦が見せ場
「神よ我らを救いたまえ」映画は盛り上がる
宙に浮く謎が、戻り、暴れる
トウモロコシ畑に不可解な景色
もう一度、足がかりを見直せ
愛のために死すなどとは笑止
止まれ!捕まえてやる、と指揮者は叫ぶ
しかし完全に失敗、その裏はない
人々は私をだましていた
私はブラジル人、チジューカの愛
終わらない旅路
憐れな船頭、見込みが外れ
私のカーニバルで遊ぶ
私はチジューカ、ロードショーにかかっている
スクリーンでの成功は、人々の力
私は戦士の地であるボレウ*2出身
純粋なる韻律*3が土ぼこりを巻き上げる
*1 カローンの舟: ギリシャ神話における「三途の川の渡し舟」的な存在
*2 ボレウ: チジューカ発祥の丘
*3 純粋なる韻律: チジューカのバテリアのニックネーム
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