マンゲイラ2013


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"クイアバー――アメリカ(南米)の中心の楽園"

鳴 り響く汽笛が、緑とピンクの列車の出発を告げます。クイアバーの皆さん、違うんです!150年間待望されているあの鉄の機械のことではありません。しか し、花火の煙のカーテンが開き、影に隠れていた部分が見えてくると、皆が納得することでしょう。夢が時に対して圧倒的な勝利を飾ることを。「盾と十字の (=「ちゃきちゃきの」の意味のクイアバーの表現)」クイアバーの皆さん、それから、心情でのクイアバーの皆さん、お喜びください。待ち時間は、今、ここ で、終わりです!皆さん、ご乗車の上、おくつろぎください。ご自身の心の窓を通してご覧ください。このパレードの中で、各駅で示されるクイアバーの記憶 を。しばらくの間、想像に身をまかせてください。列車を待つ時間にうんざりしてしまった人のようにではなく、時間を期待を膨らませる材料とする人の知恵に 倣って。

始発駅: マンゲイラ

列車が動 き始めます。マンゲイラのミュージシャンたちがバテリア・スルド・ウンに音出しを促します。ウェルカム・パーティ的な祝祭です。ここで「本名からニック ネームへのふざけた転換(フレイリ・シウヴァ著『クイアバーのモザイク的表現』より)」を通じて、人を挙げていくとすると、まずは、韻文詩の取扱責任者、 巨匠ジャメラォンの出番となります。我らが永遠のサンバ・エンヘードのインテルプレッチである彼が「マンゲイラの天才的天使たち」――カルトーラ、カルロ ス・カシャーサ、ゼ・エスピンゲーラ、ネウソン・カヴァキーニョ、ドナ・ジッカ、ドナ・ネウマ、シャンゴー・ダ・マンゲイラその他大勢――の記憶に音のい ろどりを加えます。彼らもまた、一緒に、皆に声をかけ、「アメリカ(南米)の中心の楽園」への旅に誘います。始発駅を後に、マンゲイラの列車は、マトグ ロッソの州都である「緑の街」の歴史の道を辿り、統一に向けた古き夢とともに、ブラジルの中心に燦然と輝くこの僻地の姿を、世界に向けて発表します。緑の 街としても知られるクイアバーは、今からは、緑とピンクの街と呼ばれることになります!

エルドラド駅

澄みきった川の水面から飛び出すかのように、富の王国に住む、迫力満点の制服に身を包んだ「サッコ将軍」が現れ、我らが列車を出迎えます。彼は、クイアバーの創建の歴史をもって我々の到着を祝います。

同 じ事象を指して、かつて様々な名前がありました。黒いサーベル、白い剣、インディオのタカペ、矢、鉈。それでも、金鉱現場で混淆が起きました。緩やかな統 合原則を共有し、バラバラのいくつかのグループがやがて連合して、やがて文明的な確固たる生活の場をうみだす基礎を作ったのです。

目を見 張る生物やインディオ戦士たちが暮らし、豊富な埋蔵量の金鉱に恵まれた、素晴らしき河川湖沼地帯の開拓者たちは、皆が追い求めたエルドラド−−全てが金や 希少鉱物でできた場所――を想像しました。その「全て」には、原住民、動物、花、果実まで含まれると、当時のバンデイランチス(開拓団)の記録に残されて います。

侵攻に次ぐ侵攻、大胆な探検が人々の記憶に残っています。パスコアウ・モレイラカブラウは、この我らが歴史を叙事詩に残しています。

探検隊の先を進み
トルデシリャス条約を破って
境界線を越え
コシポー河のほとりに金を発見し
1719年に創設した、最初のポルトガル人居住地を、
クイアバーを
大事なことは一つだけ!肥沃な高台の土地であること
一時の感情のもつれなど気にしない
クイアバーはブラジルの国土であることを誇る
過去の不朽の栄光を示しつつ

神話伝説駅

我らが列車は木漏れ日の薄明りの中を進みます。出迎えてくれるのは「アントニオ・ペテテ」。素晴らしい扇を手にしたこの静かな生活を送る放浪者が、私たちにクイアバーの出来事を語ってくれます。

昔 々、ヘビの姿をした怪物の話がありました。その名をミニョカォン(大ミミズ)といい、クイアバー川に棲んでいました。カヌーがそのヘビに接触したとか、陸 地と間違ってその背中に乗ってしまったとかいう、目撃談・接触談が淡々と書かれた報告もありました(ホベルト・ロウレイロ著『マトグロッソの文化−聖人祭 その他の伝統』136ページ)。

クイアバーの大世界にはさらに、ボイタターという名で知られた人々を脅かす火の蛇や、夜に魔法の鳥に変身 するインディオのチバナレーもいます。未開の森やサバンナ地帯には、ひとつ脚の生き物、ペ・ヂ・ガハーファが棲んでいます。また、月の出ない夜に、クイア バーの道を徘徊する、花嫁衣装を着た女に出会うかもしれません。その時は逃げて。彼女こそダーマ・ヂ・ブランコの幽霊だから。

神話・伝説 数ある中、パクー(クイアバー川で獲れる最もおいしい魚のひとつ)の頭を食べ終わって、それが結婚の仲立ちをしてくれる魚だと聞かされて、慄然としない人 がいるでしょうか?失われた「殉教者の鉱山」を探す冒険に出なかった人がいるでしょうか?まあ、いいでしょう。「水の母」に祝福されて、これら全てが私た ちの大衆的空想の一部を担っているのです。文学全体に通じるように、全からく文化的であり、クイアバー発という折り紙つきというわけです。

芸術味覚駅

「羽根つきポーン、ヨーヨーびよーん、、、」という愛の詩を朗読して少年時代を思い出しつつ、マンゲイラの列車は「ゼ・ボーロ・フロール」と遊びながらクイアバーの芸術と料理を紹介します。

焼 き物に絵画、その他芸術作品はおろか、普通の地面にも、食べ、飲み、踊る、人々の生活が見て取れます。市場はどこでも人々の生活自体がお祭りのようなもの です。ウィンドウに並ぶ、網、マント、テーブルクロス、、、これらが、デート中の若者や、フフンドゥという独特の風味のデザート目当てでやってきた人々の 目をひきつけます。

それにほら、創造性に欠くことはありませんよ!芸術がピンとこなくても、口のほうでも魅力があります。さあ兄弟、お腹 を空かせて来てください。もはや何かの罰かというぐらい悩ましいメニューがこちらです。言うまでもなく、バナナのファロッファもよし、ピンタードのモジッ カもよし。干し肉のパソッカももちろん、マシシ・ヘシェアードなんかはもっと言うまでもない存在です。クイアバーでは、食は神聖なものです。なんでも食べ ます。長ったらしい話はなしです。カジュアーダや、アホース・ヂ・ペキーや、あのおいしい牛の頭の丸焼きを我慢できる人がいるなど、到底信じられません。

聖人祭駅

「啓 示のアーチ」の下に、私たちは到着します。霊験あらたかな癒しの女神「マンィ・ボニファッシア」が、祭事に向けて担当者であるムシルンの配置を取り仕切り ます。贖罪!聖なる祝福に向けた愛で人々が熱狂します。信仰心からは強固な信頼が生まれ、そして祈りからは、クイアバーの聖霊祭に向けた歌が生まれます。

清 らかな視線で、人々は守護聖人であるボン・ジェズースの恵みを求めます。人々はまた、列をなして聖ベネヂートを、その献身への信仰として、称えます。祭 事、供物、旗、柱の儀式、そして水上行列が、私たちを宿命と結びつけます。ひとたび約束がなされたのちに、この大いなる魅力に逆らえる人はいません。儀式 のかがり火に続いて進み、聖ジョアォンのペアダンスを踊ります。

かけがえのない時間!

そして人々は地方宗教で重要な意味 を持つ「聖ゴンサーロ」の踊りを踊ります。ここでは聖ゴンサーロは無限の神であり、人々の痛みを洗い流し、涙をぬぐい取ってくれます。ヴィオラ・ヂ・コッ ショの音色やモッショの打音、そしてガンザのリズムが響きます。どれもクイアバーに特有の音楽性表現です。大いなる知の記録書では、人々は罰のない純粋な 時間に溶け合っていきます。クルルー、シリリー、ハスケアードといった音楽にのった踊りや歌の中で回ることで、人々はそこに祈りの言葉を託すのです。

様 々な聖人祭に続いて、それに伴う謎が現れます。そこで、踊り、祈り、音楽、遊び、宗教性−すなわち世俗と神聖が共生関係にあるかのように混ざり合います。 それに促されて、ちょうど次の駅へ向けて出発しようというときに、色鮮やかな衣装をつけた仮面の集団が現れ、柱のまわりで「トランサ・フィッタス(リボン 巻き)」のダンスを踊ります。

楽園入口駅

少 し待ってください。よくあるアドバイスにしたがって、先に進む前に一回、深呼吸をしましょう。よろしい!では行きましょう!「そこには決して記憶から拭わ れることのない、たくさんの命が、たくさんの歴史があります。まさしくたくさんの美の源泉。それは土地であり、人々であり、神が創りたもうた全て、すなわ ち、一般に自然と呼ばれるものです。」

神秘的な、幾何学的なモザイクを眼前にして、私たちは目を見張ります。渓谷の縁に浮かぶ鉄鉱石、考 古学的な発掘現場で発見された謎の洞窟や岩に刻まれた壁画、澄んだ水が流れ落ちる滝、はては空を飛ぶつがいの赤いオウムまでも、これら全てが、シャパー ダ・ドス・ギマランィス(滝を主とする名所)をして、創造主に捧げる祈りとなしているのです。

先に進んで、空を舞うトゥイウイウ(ズグロ ハゲコウ−マトグロッソのシンボルである鳥)たちが、パンタナウの驚くべき生物多様性と尋常ならざる野生生物の姿を眺めるツアーへといざないます。「アメ リカ(南米)の中心の楽園」という通称にまだ納得できない方もいらっしゃるかもしれませんが、この緑の街クイアバーはさらに、アマゾンへの入口としての輝 きも誇っているのです!このエデン的な香りのただよう楽園的な舞台に置いて、マンゲイラは歌い、魅了します。

栄えあれ、汝の財宝に
汝の輝ける青き空に!
祝福あれ、愛されし大地よ。
クイアバー、我がブラジルに属す汝、
南米の中心に据えられし真珠よ

未来への供託駅

私たちは終着駅に到着します。するとすぐに、高貴な理想の護り手であるスレンダーな黒人が高らかに宣言します。「さあ前を、壁の先を見て。クイアバーは未来へ向かう街です!」彼女こそ「マリア・タクアーラ」です。

「我 々が歌いあげるコント詩は、すなわち人々が作り上げた歴史です。」クイアバーは、働く人々、何年もこの国の主要都市から隔絶されて暮らして大人になった (子供でもそうですが)、そうした共同体意識をもった人々の隠れ家として再構築されます。「マンゴーの木が生えた庭」、川の辺のアコパリの木陰ですりおろ したガラナをすする、「パンドルガ(凧)」をあげる、「フィンカ・フィンカ」、「ブスカ・ペ」、ピシェー(トウモロコシの菓子)で汚れた口で言う「トリッ キ・トリッキ」、こうしたあれこれの想い出から、太陽が焼き付けるこの大地に、不滅の富、疑う余地のない技術が生じ、経済成長を牽引しています。

ク イアバーは伝統と進歩を組み合わせて発展する「チャンスの街」です。この地から、波及力の高いエネルギーが生じます。それは主に、未来への希望、そして住 民の魂に刻まれた温かい人間味から生じるものです。クイアバーのために全員が連帯し、信じる気持ちを証明し、この街が引き続き発展してそこに住むみんなの 要望を実現してくれることへの希望を持ち続けます。

連帯し、マンゲイラと手を繋ぎ、この街は世界最大のスポーツイベントである2014年 ワールドカップの開催地として、誇りをもち、準備を進めています。多様性をもち、異種混交が行われたことから、私たちにはここに未来があるのだと確信する 手がかりを得た思いです。「アレゴリア産業」に置き換えることで、工業化に関する魔法の手法が発見されます。持続可能性!公害ゼロ、この国の約束です。

私たちの旅の終着点は常に、感受性のある人々にとっての出発点です。

カルナバレスコ シヂ・カルヴァーリョ
調査 マルコス・ホーザ

参考文献
フェルナンド・タデウ・ヂ・ミランダ・ボルジェス 『Esperando o Trem - sonhos e esperan?as de Cuiabá(列車を待ちわびて−クイアバーの夢と希望)』2005年Scor Tecci
シウヴァ・フレイリ 『Manifesto Mosaico Cuiabano(クイアバーのモザイク的主張)』1977年
マ ルシア・アウシリアドーラ・ヂ・フレイタス 『Cuiabá: imagens da cidade, dos primeiros registros à década de 1960(クイアバー:街の情景、初期植民から1960年代まで)』2011年 Entrelinhas
ラウリステーラ・ギマランィス 『Organização. Cuiabá: Cidade em Evolução(構成 クイアバー:進化中の街)』 2011年 Primeira Página
モイゼース・マルチンス 『Cuiabá de Vila a Metrópole Nascente(クイアバー、村から新興都市へ』2006年 Caderno
ロウレイロ・ホベルト 『Cultura mato-grossense: Festas de Santos e outras tradições(マトグロッソの文化、聖人祭その他の伝統)』2006年 Entrelinhas
イヴェンス・クイアバーノ・スカウフ 『キヴァヴェラー』2011年 Entrelinhas
パウロ・ピタルーガ・コスタ・イ・シウヴァ 『Cuyaverá, Cuiabá: a lontra brilhante(クヤヴェラー、クイアバー、輝くカワウソ)』2007年 Carlini e Carniato

謝意
フ ランシスコ・ベーロ・ガリンド・フィーリョ(クイアバー市長)、シウヴィオ・フィデリス(クイアバー市書記官)、カルロス・ブリット(クイアバー市広 報)、ルイス・ポサォン(クイアバー市文化局長)、タニア・アパレシーダ・バルテーリ(クイアバー市観光局長)、カルロス・アダッヂ(クイアバー市観光局 次長)、フェルナンド・ビラウ(クイアバー市総務部長)、ヘジーナ・カイゼール(クイアバー市社会福祉人材開発局長)カイキ・ロウレイロ、ウーゴ・モンテ イロ、ドナ・ドミンガス、ラリッサ・シウヴァ・フレイリ、クレイトン・ノルマン・ダ・フォンセッカ(マトグロッソ連邦大学)、マルシオ・ボローゾ、マリ ア・テレーザ・カヒオン・カハセード、エリザベッチ・マドゥレイラ・シケイラ(ブラジル歴史地理院)レオナン・ラウロ教諭他、当件について着想、アドバイ ス、サポート等の貢献をいただいた全てのクイアバー市民・マトグロッソ州民の皆様に


(サンバ・エンヘード)
作: レキーニョ、ジュニオール・フィオンダ、イゴール・レアウ、パウリーニョ・カルヴァーリョ

おお父なる神よ、我に着想を与えたまえ!
そはこの詩をもって
我こそが宣せんがためなり
自然の首都、それを永く留めん
始発駅で乗り込むのは
我らを導く巨匠
不滅の達人たち、
古きカーニバルのエルドラド
比肩すべきものなき美しき聖遺物を収めしペンダント
自然美の源泉
麗しの街、、、緑、、、ピンク
そが名は輝く
ヴィラ・ヘアウ・ド・ボン・ジェズース
汽笛が鳴る、注目!
謎、そして化け物の伝説
我は勇気をもってそれを辿り
我が価値を証明した
それが全力のマンゲイラ

どこに立ち寄っても、
人々が語る「由緒」がある
どの芸術に目を向けても
どの詩にも、輝きがあった
我が口には、
甘い風味、香辛料の味付け
パートナーを見つけろ
もう祭りが始まる
聖ベネヂートの祝福の中に我は行く
我が愛する者、夢とともに、
ついに至った
この世に再現された楽へんに
輝く青空の中に
祝福あれ、愛されし大地よ!
南米の中心
今、我らが手を伸ばすとき
今こそ、使命を果たすべし
同じ方向に持続させるべし

マンゲイラ、、、感動の列車、それが、
空想の中を旅する
我がサンバはマデイラ、ジェキチバー
クイアバーに捧げる詩

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